バイクのタイヤ。
毎日見ているはずなのに、意外とちゃんと見ていません。
「黒い」
「丸い」
「空気も入ってそう」
だいたいこのあたりで点検終了です。
でもタイヤは、バイクと地面が接している数少ない部分。
しかも前後2本しかありません。
今回はタイヤ交換の方法ではなく、普段どこを見ればいいのかという日常点検の話です。
エアゲージもコンプレッサーも持っていなくて大丈夫。
まずは見て、触って、たまにちゃんと確認する。
それだけでも十分違います。
この記事の結論
乗る前に10秒見る。たまには前後タイヤを一周見て、空気圧も確認する。
明らかな空気の減り、変形、釘やネジをざっと見る。
溝、スリップサイン、サイドウォールを見て、空気圧も確認する。
空気圧は冷間時に。スリップサインは使用限度。釘やネジを見つけても、いきなり抜かない。
タイヤ点検は「普段」と「ちゃんと見る日」で分ければいい
毎回乗るたびに空気圧を測って、溝の深さを測って、タイヤを一周確認して。
そこまでやる人は、なかなかいません。
なのでモトシルでは、タイヤ点検を大きく2つに分けます。
普段は10秒だけ見る
バイクに乗る前に、前後タイヤをざっと見ます。
明らかに空気が減っていないか。
何か刺さっていないか。
タイヤが変な形になっていないか。
これくらいなら10秒もあればできます。
特に後輪は釘やネジを拾っていることがあります。
毎回タイヤを一周回して、しゃがみ込んで観察する必要まではありません。
「なんか今日、後ろ潰れてない?」
この違和感に気づければ、普段の点検としてはまず十分です。
指で押す人もいれば、軽く蹴る人もいる
タイヤを指で押して確認する人もいます。
手でぐっと押す人もいます。
昔からバイクに乗っている人だと、タイヤを足でトントンと少し強めに蹴って、空気が入っている感触を確認する人もいます。
もちろん、
これで正確な空気圧は分かりません。
200kPaなのか230kPaなのかを、指や足で判定するのは無理があります。
ただ、
「いつもより柔らかい」
「蹴った感じが明らかに違う」
「見た目にも潰れている」
といった大きな変化を見つける簡易チェックとしては使えます。
つまり、
押したり蹴ったりするのは空気圧測定ではなく、異常を見つけるための簡易チェック。
このくらいに考えておけばいいでしょう。
正確な空気圧は、また別のタイミングで確認します。
正確な空気圧は「何かのついで」に確認する
問題はここです。
家にエアゲージやバイク用の空気入れを置いていない人も多いでしょう。
そのため、
「毎月、自宅で空気圧を測りましょう」
と言われても、そこで話が終わってしまいます。
だったら、
ガソリンを入れたついで。
バイク屋へ行ったついで。
洗車や整備をしてもらったついで。
こういうタイミングで空気圧を確認する癖をつけた方が現実的です。
ガソリンスタンドに空気圧計やエア設備があるなら、バイクでも使えるかスタッフに聞いてみるのもいいでしょう。
タイヤの空気は、パンクしていなくても少しずつ抜けていきます。
「最近何も起きてないから大丈夫」ではなく、たまに確認する習慣を作る方が大切です。
空気圧は基本的にタイヤが冷えているときに測る
メーカー指定の空気圧は、基本的にタイヤが冷えている状態での数値です。
長距離を走った直後はタイヤが温まり、中の空気も膨張しているため、空気圧は高く表示されます。
その状態で、
「ちょっと高いな」
と指定値まで空気を抜いてしまうと、タイヤが冷えたあとに空気圧が低くなってしまいます。
自宅の近くや、走り始めてすぐに寄れるガソリンスタンドなどで確認できると使いやすいでしょう。
自宅でも空気圧を確認したい場合は、バルブへ口金を当てやすいエアゲージを用意すると便利です。以下は測定・減圧用で、空気を入れる機能はありません。
たまにはタイヤを一周ちゃんと見る
給油や洗車のとき。
あるいは月に一回くらい。
そんなタイミングで、今度は前後タイヤを少し丁寧に見ます。
見る場所は、
トレッド面とサイドウォール。
タイヤの上だけではなく、横も見ます。
タイヤの真ん中だけ見ない
タイヤの接地面をトレッドと呼びます。
ここでは溝だけでなく、減り方も見ます。
センターだけ極端に減っていないか。
左右で減り方が違わないか。
表面が波打つように減っていないか。
一か所だけ傷んでいないか。
タイヤは必ずしも、きれいに均等に減るわけではありません。
「まだ溝があるから大丈夫」
だけではなく、
どう減っているかを見る。
これもタイヤ点検です。
ちなみに、タイヤを見ながら、
「あと5mmで端まで使えるな」
「今日はここまで寝かせたな」
とタイヤの端をマジマジと観察しているあなた。
このページは、もうあまり見る必要がないかもしれません。
サーキットや峠を走って、タイヤの端までどこまで使ったか気になるような人は、すでにタイヤをかなり見ています。
この記事は、その手前。
「そういえばタイヤなんて、空気が入っていればいいと思っていた」
くらいの人向けです。
スリップサインは「そろそろ交換」の目印ではない
タイヤの溝の中をよく見ると、一部分だけ少し盛り上がっている場所があります。
これがスリップサインです。
タイヤ側面にある「▲」や「TWI」などの印を探すと、その近くの溝にスリップサインがあります。
タイヤが減って、この盛り上がった部分とタイヤ表面がほぼ同じ高さになったら使用限度です。
二輪車では、残り溝0.8mmが使用限度です。
ここで注意したいのが、
「スリップサインが出たら、そろそろ交換を考える」
ではないということ。
もう限界です。
交換を考え始めるのは、その少し前。
スリップサインは、
「まだいけるかな?」を見るための線ではなく、「ここまで使わない」の線。
くらいに考えておいた方が分かりやすいでしょう。
サイドウォールも忘れずに見る
タイヤの横側。
ここがサイドウォールです。
普段あまり気にしませんが、ここも重要です。
細かいひび割れ。
深い傷。
何かに擦った跡。
不自然な膨らみ。
変形。
こういったものがないか確認します。
特にコブのように膨らんでいる場合や、内部まで届きそうな深い傷がある場合は、そのまま乗らずに販売店などで確認してもらった方がいいでしょう。
タイヤは表面だけ見て終わりではありません。
横も見る。
これだけ覚えておいてください。
「釘刺さってる!」でも、いきなり抜かない
タイヤを見ていて釘やネジを発見。
そして人間には、刺さっている物を見ると抜きたくなる習性があります。
でも待ってください。
特にチューブレスタイヤの場合、刺さっている釘やネジが穴をある程度塞いでいて、空気がゆっくりしか抜けていない場合があります。
そこで、
スポッ。
と抜いた瞬間から、本格的に空気が漏れ始めることがあります。
まず抜かない。
空気が残っているか確認する。
そしてバイク屋やタイヤショップへ相談する。
すでに大きく空気が抜けていたり、タイヤが潰れているなら、そのまま走らない。
ロードサービスを使う方が安全です。
チューブタイヤは少し話が違う
ここでチューブレスとチューブタイヤの違いだけ、少し触れておきます。
チューブレスタイヤは、タイヤとホイールで空気を保持します。
一方チューブタイヤは、その中に入っているインナーチューブに空気が入っています。
そのため、釘がタイヤを貫通して中のチューブまで傷つければ、チューブから空気が抜けます。
チューブレスのように、
「釘が刺さったままだけど、まだ空気が残っている」
という状態になりにくい場合もあります。
チューブタイヤならチューブだけ交換できる場合もある
釘などでインナーチューブだけが傷つき、外側のタイヤ本体に大きな損傷がなければ、
タイヤはそのまま使用して、チューブだけ交換
という対応ができる場合があります。
ただし、必ずタイヤの内側も確認します。
釘が大きな穴を開けていたり、タイヤ内部を傷つけていたりすれば、チューブだけ交換すればいいとは限りません。
チューブだからタイヤは無傷。
というわけではありません。
チューブレスはパンク修理できる。ただし何回でもではない
現在の多くのロードバイクで使われているチューブレスタイヤでは、釘などによる小さな穴ならパンク修理できる場合があります。
車のパンク修理に近いイメージです。
ただし、
穴が開けば何でも直せるわけではありません。
傷の位置。
穴の大きさ。
タイヤ内部の状態。
過去の修理歴。
こういった条件によって、修理できるかどうかは変わります。
タイヤメーカーによっては、修理回数を最大2回までとしている場合もあります。
ショップによっては、安全面を考えてさらに厳しい基準で修理を断ることもあります。
つまり、
「パンクしたら、何回でも穴を塞いで使えばいい」ではありません。
外から差し込むタイプのパンク修理キットもありますが、基本的には応急処置と考えた方がいいでしょう。
チューブタイヤとチューブレスでは、パンクしたときの対応もかなり違います。
このあたりは話が長くなるので、別の記事で詳しく説明します。
関連記事予定:
「チューブタイヤとチューブレスは何が違う?パンクしたときの違い」
タイヤの溝は、減りを見るためだけにあるわけではない
タイヤを眺めていると、もう一つ気になることがあります。
タイヤによって溝が全然違います。
ツーリングタイヤはしっかり溝がある。
スポーツタイヤになると溝が少なくなる。
オフロードタイヤはブロックだらけ。
そしてサーキットのスリックタイヤになると、
ついに溝そのものが消えます。
「溝がない方がグリップするなら、全部スリックでいいんじゃない?」
と思いますが、もちろんそうはいきません。
雨。
水の排出。
路面温度。
ゴムの性質。
使う場所。
タイヤは用途によって、かなり違う設計になっています。
ここでは点検の話なので深入りしません。
ただ、
タイヤの溝は、減り具合を見るためだけに付いているわけではない。
ということだけ覚えておいてください。
詳しくは別の記事で説明します。
関連記事予定:
「バイクのタイヤにはどんな種類がある?スポーツ・ツーリング・オフロード・スリックの違い」
タイヤ点検は、毎回全部やらなくていい
毎回エアゲージを持ち出す必要はありません。
乗る前に10秒見る。
指で押す。
足で軽くトントンと確認する。
給油や洗車のついでに、たまに一周ちゃんと見る。
ガソリンスタンドやバイク屋へ行ったついでに、空気圧を確認する。
そして、
溝。
スリップサイン。
サイドウォール。
釘や異物。
空気圧。
ここを時々ちゃんと見る。
それだけでも十分なタイヤ点検になります。
タイヤはエンジンほど派手ではありません。
キャブのように分解して楽しむ部品でもありません。
でも、
エンジンが壊れれば止まります。
タイヤがおかしくなれば、転ぶことがあります。
地味ですが、見る価値はかなりあります。
